
サステナブルピープル Vol.9
井筒屋グループは、企業の社会的責任を果たすべく、事業活動を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献し、人々の豊かな未来と持続可能な(サステナブル)社会の実現を目指してまいります。本企画では、人と地域をつなぎ、豊かな未来を創造していくために、さまざまな業界のフロントランナーたちのお話を伺います。

日本航空株式会社 国産SAFタスクフォース マネジャー 安部やよいさん
神奈川県横浜市出身。2010年 日本航空株式会社 財務経理本部 経理部に入社。2014年から人財教育に携わり、2021年からは調達本部で産学連携や人財開発などさまざまなプロジェクトで活躍。2024年から国産SAF推進タスクフォース。「すてる油で空を飛ぼう®︎」プロジェクトの推進に尽力している。
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「地球温暖化」を抑止するため、脱炭素化への取り組みが世界的な重要課題になる中、「SAF(サフ)」と呼ばれる航空燃料に注目が集まっています。「SAF」とは廃棄物や再生エネルギーから精製する持続可能な燃料で、従来の化石燃料に比べてCO2排出量を大幅に削減することが可能です。
今回ご登場いただくのは、日本航空株式会社が進める「SAF」に関する取り組みのひとつ「すてる油で空を飛ぼう®︎」プロジェクトのマネジャー、安部やよいさんです。
当社は2025年11月8日(土)からJALと連携し、小倉店本館7階「サステナベース」にて国産SAF原料となる家庭からの廃食油の回収をスタートいたしました。この取り組みについて、詳しくお話を伺いました。
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・・・新しい航空燃料「SAF」について教えてください。
「SAF(Sustainable Aviation Fuel)とは、化石由来を原料とした従来の航空燃料と異なり、使用済みの食用油を原料として作られる「持続可能な航空燃料」のことです。従来の航空燃料に比べてCO2排出量を約80%削減できると言われています。
JALグループでは、2030年度に全燃料搭載量の10%をSAFに置き換えるという目標を掲げ、それに向かってさまざまな取り組みを行っているところです。「すてる油で空を飛ぼう」プロジェクトもそのひとつで、昨年6月に始まりました。ご家庭で出る使用済みの食用油は、日本全体で年間10万トンと言われています。そうした廃食油をさまざまな自治体や企業、団体様にご協力いただきながら、全国各地で集める活動です」。

・・・現在、JALではどのくらい「SAF」が使われているのでしょうか?

画像提供:日本航空株式会社
「今年4⽉、⽇本発のSAF製造プラントが⼤阪‧堺市に完成し稼働が始まりました。⽇本初の国産のSAFが誕⽣しています。JALでは、現在全体の1%のSAFを航空燃料とし使⽤しています。」
実は、国際民間航空機関(ICAO)が『2050年までに航空燃料の100%をSAFにする』という国際ルールを定めています。SAFの先進国はヨーロッパ諸国で、アジア圏内ではシンガポールが早くから取り組んでいますが、残念なことに日本は世界に比べてSAFへの取り組みが遅れています。ですから、2050年までに国産100%のSAFを活⽤して⾶⾏機を⾶ばすことは現段階では難しい状況ではありますが、SAFの原料として、廃食油の回収と並行して回収にむけて動いているのが、森林残渣(伐採作業後に残される、木材として利用価値の低い端材のこと)です。こちらもさまざまな企業‧団体と協⼒しながら少しでも多くのSAFが国内で作れるよう取り組んでおります。
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・・・もし、2050年までに国際ルールを守れなかった場合、どのようなリスクが考えられますか?
「2050年以降、日本の空港でSAFを給油できない状況だと、海外の航空会社が日本に来ることができません。そうなると旅行だけでなく、飛行機を活用している物流などが止まってしまうことになります。
日本は飛行機に限らず、船や電車などの交通手段があるため、航空業界の課題を自分事と考えるのは難しいかもしれませんが、飛行機をご利用されないお客様にも、もしかすると日常の品物が手に入らなくなったり、高額になったりする影響が考えられます。
この「すてる油で空を飛ぼう」プロジェクトは、ご家庭で出た不要な油をボトルに入れ、指定の回収ボックスに入れていただくというものです。手軽にトライできるこの取り組みをきっかけに、航空業界の置かれている状況をお伝えしながら、誰もが「地球の脱炭素化に貢献できる」という“機運の醸成を図ること”に重きを置いています。全国各地に回収ボックスの設置場所を増やすこと、そしてイベントなどを通じてより多くのお客さまにこの取り組みを発信し、ご理解を得ていくことが私の重要なミッションのひとつです」

「すてる油リサイクルボックス」
画像提供:日本航空株式会社
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画像提供:日本航空株式会社
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・・・環境問題を次世代へ伝える取り組みも行っているそうですね。
「はい。まさに2050年という時代を生きていく小学生たちに、環境教育の出前授業を行っています。例えば『なぜ毎日こんなに暑いのか』『それを避けるためにはどうしたらいい?』というような、普段感じていることから、世界が抱える環境問題をわかりやすく伝え、子どもたちに当事者意識を持ってもらうことが目的です。
子どもたちはとても純粋なので、授業では思ったことをストレートに話してくれますし、自分ごと化してくれます。横浜市の小学校で授業をした縁で、弊社の整備工場に子どもたちを招待して、「実際にこの飛行機の燃料にSAFが使われるんだよ」とお伝えしました。すると子どもたちが「SAFを何とかしたい!」と強く思ってくれて、自分たちで廃食油の回収場所を見つけくれたんです。地域の小さな店舗さんだったのですが、私どももお話しに行かせていただき、新規にBOX設置のご協力をいただくこととなりました。学校でも廃食油を集めていただき、子どもたちはお母さんに「毎日唐揚げを揚げて」とお願いしているそうで(笑)。本当にその気持ちがありがたいなと思います。
また、横浜市にご協力いただき、ラグビーの試合でも廃食油を集めることになりました。当日は子どもたちの手作りのポップが飾られるなど、素直で一生懸命な気持ちが溢れるイベントになる予定です」。
・・・子どもたちも率先して協力することができる、そんなプロジェクトがついに北九州でも始まります。
「脱炭素化に力を入れている北九州市とは、以前からSAFに興味を持っていただいていたのですが、今回はサステナブル活動に取り組んでおられる井筒屋様をご紹介いただき、北九州市でも始められる運びとなりました。
まずは2025年11月8日(土)・9日(日)、北九州市で行われる「北九州エコライフステージ2025」に、井筒屋・JAL 共同ブースを出展し、廃食油を持ってきていただくための「JALオリジナル回収ボトル」の配布や、「すてる油で空を飛ぼう」プロジェクトの説明などを行います。専用ボトルは先着100名様に無料配布しますが、無料配布が終了した以降は、プロジェクトの参加費として1つ220円(税込)で販売する予定です。
2日間のイベント終了後も、小倉店本館7階〈サステナベース〉に回収ボックスを設置し、回収ボトルの販売や廃食油の回収を継続させていただきますので、皆さまご協力のほどよろしくお願いいたします」。

回収ボトル
画像提供:日本航空株式会社

小倉店本館7階〈サステナベース〉に
回収ボックスを設置します。
画像提供:日本航空株式会社
オープニングイベント
各日先着100名に「JALオリジナル回収ボトル」をプレゼント(なくなり次第終了)
【日時】2025年11月8日(土)・9日(日)
午前10時〜午後3時
【場所】小倉店本館1階 東口玄関前 井筒屋・JAL 共同ブース
■武内市長による廃食用油回収タンクへの注ぎ込み
【日時】2025年11月9日(日)
午後1時45分〜午後1時55分
【場所】小倉店本館1階 東口玄関前 井筒屋・JAL共同ブース

井筒屋でのイベントの様子
2025年11月8日(土)

井筒屋でのイベントの様子
2025年11月8日(土)

小倉店本館7階 サステナベースでは
一般社団法人 福津いいざいとJALが協力した
「空飛ぶあごだし」を販売しています。
商品企画からパッケージデザイン企画まで参画された
JALふるさとアンバサダー信末桃子さんも
井筒屋でのイベントにご来店いただきました。
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・・・最後にお聞きします。安部さんにとっての“サステナブル”とは何でしょうか。
「あまり偉そうに語れる立場ではありませんが、私にとってのサステナブルは、ちょっとかっこよく言うと『未来への責任』と『美の革新(イノベーティブ)』。そういうイメージです。
サステナブルは地球の恵みの上に成り立つことが大前提なので、環境への配慮はとても大切です。また、JALは「人と人とをつなぐ優しさ」を大切にする会社でもあります。仲間と力を合わせ、誠実さと思いを込めながら、色々な選択を重ねることで未来の空を今よりももっと美しく。それを力強く次世代に繋げていくことが「未来への責任」である…そんな風に考えました。
そして「美の革新」と申し上げたのは、見た目だけ“美しいこと”をするのではない、ということ…わかりやすく言うと、メッキは剥げてしまいますよね。本物であるという美しさを未来につなげていく価値、そういったものを作り出せるきっかけが、まさにサステナブルなのかな、と考えています。
今回、歴史のある井筒屋様で私たちのプロジェクトが始められるというところでは、「品格」という部分がまさに「美の革新」ではないかと感じます。
百貨店のお客様は、本物にしっかり向き合う方が多い印象がありますので、そういう意味では、一緒に何か新しいものを創っていけるのでは、と感じております」。
井筒屋では脱炭素社会の実現、サステナブルライフの推進など、環境保全と経済成長の両立による企業価値向上や、地域共創によって創出する「環境共生型百貨店」へと舵を切っております。井筒屋にお越しくださるお客様の中にも、きっと「地球温暖化対策に何かしら貢献したい」と考えている方がいるのではないでしょうか。
「すてる油で空を飛ぼう®︎」プロジェクトは、個人が直接、脱炭素社会に向けた取り組みに参加できる、大変意義のある機会です。家庭から出る廃食油の量は少ないかもしれませんが、集まると大きな力になることを信じて、できることから一緒に始めてみませんか。
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