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公開日:2023.11.14

【サステナブルピープル】サステナブルな暮らしの先は「面白くて無理なく楽に続く」ものであればいい〜西日本工業大学 石垣充教授〜

サステナブルピープル Vol.1

井筒屋グループは、企業の社会的責任を果たすべく、事業活動を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献し、人々の豊かな未来と持続可能な(サステナブル)社会の実現を目指してまいります。

新しく始まった本企画では、人と地域をつなぎ、豊かな未来を創造していくために、さまざまな業界のフロントランナーたちのお話を伺います。


西日本工業大学
デザイン学部 建築学科
教授 石垣充
Ishigaki Takashi

北海道小樽市出身。室蘭工業大学建築工学科卒業。秋田県立大学大学院システム科学技術研究科建築環境システム学専攻博士前期課程修了、早稲田大学大学院創造理工学研究科建築学専攻博士後期課程単位取得退学、2016年に博士(工学)取得。石本建築事務所勤務、秋田公立美術工芸短期大学講師を経て、2012年より現職。SD Review2008、2017、新建築住宅設計競技など受賞歴多数。著書:「建築模型アイデア図鑑」(学芸出版社/2021)

第一回目は、建築だけではなく、インテリア・家具・プロダクトに至るまで、幅広い領域でその手腕を発揮している石垣先生に、建築に進んだきっかけや、大学・行政・地域・産業が連携協働に挑んだ「京築のヒノキと暮らすプロジェクト(略称:ちくらす)」についてお話を伺いました。

・・・石垣先生が建築を専攻した理由から教えてください。

名前の通り沖縄の石垣島にルーツがあるのですが、私の出身は北海道小樽市です。小学生の頃から小樽運河をうろついたり、そこで絵を描いたりするのが好きな、ちょっと変わったところがありました。小樽には明治、大正、昭和初期ぐらいの建物が多く、その頃から建築や都市に興味がありました。最初は「大工になりたい」と思っていたのですが、当時はその方法が分からず、大学の建築学科に進んだことが、この世界に足を踏み入れたきっかけです。

大学を卒業後は設計事務所に就職したのですが、30歳になった頃、秋田にある美術系短期大学の公募に挑戦し、幸運にも採用いただきました。そこから大学での研究活動が始まり、2012年に小倉に流れ着いたのです。

・・・大学ではどのようなことを教えていらっしゃいますか?

私自身は建築のアイデアコンペ入選作の意匠論研究をしています。また学生には建築の改修物件を通して指導をしていますが、そのほかにも木製品や家具などのデザインも学生と一緒に継続しておこなっています。

例えば、井筒屋さんと一緒に活動している「京築のヒノキと暮らすプロジェクト」(略称:ちくらす)では、「ちくらす」の作品を販売したり、展示イベントや木工ワークショップなどを実施させてもらったりしています。また「ちくらす」で作ったクリスマスオーナメントの収益金の一部は、森林保全活動に寄付されるほか、購入者の方達と一緒に植樹会を行っています。

 京築ヒノキの芯マステ(1個 880円)。本物のヒノキの枝芯を軸に手巻きしたマスキングテープ。
井筒屋小倉本店の本館6階〈きたきゅうコロンブス〉にて販売中。



「ヒノキ・ハート」
〜ハートをみがいてココロを届けよう〜「ちくらす」とコラボしたオーナメント販売は今年で3年目。毎年デザインを変えて販売しています。写真は現在、井筒屋で発売している、京築ヒノキで作ったクリスマスオーナメント(税込2,200円)。枠から外したハートのオブジェをヤスリで磨き、自分で仕上げまで行います。エッセンシャルオイルを垂らして使ったり、残った木枠もおにぎり型として使えます。

※収益金の一部を森林保全活動に寄付いたします。来春に第3回植樹会を予定しています。
(協力)京築地区森林・林業推進協議会、西日本工業大学

2023年4月22日、築上郡築上町にある綱敷天満宮にて行われた植樹会

「京築のヒノキと暮らすプロジェクト」(略称:ちくらす)とは 京築地域の森林資源の有効活用を目的に、大学・行政・地域・産業が連携し、学生の提案による新たなデザインの家具や木製品の開発に取り組むプロジェクトです。

・・・「ちくらす」は持続可能な社会の実現を目指す活動の一環として、井筒屋としても大切なプロジェクトです。「ちくらす」が誕生した経緯や活動内容について教えてください。

2015年に福岡県の行橋市にある農林事務所さんからお話をいただいたのがきっかけです。とある「句会」に、農林事務所の方と西日本工業大学の研究者、井筒屋の方が同席していたことから関係がはじまり、ものづくりに向いていそうな私に声がけがありました。実績としては「ウッドデザイン賞2017」を受賞したり、イタリア・ミラノで作品展をしたりと、この8年間でいろんなことがありました。

平成筑豊鉄道の駅を京築ヒノキで木質化した「東犀川三四郎駅」(2019)「美夜古泉駅」(2021)「油須原駅」(2022)のリニューアルも、“小さいものから大きいものまで手掛ける”「ちくらす」プロジェクトの一環です。


福岡県田川郡赤村にある平成筑豊鉄道の田川線油須原駅。開業当初からある駅で九州最古の木造駅舎とも言われ、2007年に映画化されたリリー・フランキー氏の小説「東京タワー~オカンとボクと時々オトン~」の映画のロケ場所にも選ばれました。撮影:イクマサトシ(TechniStaff)

元のデザインの良さを最大限に活かしながら改修。外部とほぼ一体になっているので、空調は設置できません。夏は暑く冬は寒いのですが「そういう状況もある程度受け入れなければ、持続できないものもあります。建築の『素』の状態というのは、実はサステナブルな状況かもしれません」と石垣先生。撮影:イクマサトシ(TechniStaff)

地場の良質な木材に、デザインの力をプラスして商品化する「ちくらす」の取り組みは、自分の性格に適していると思うし、最近は「木が好き」という学生も増えているので、教育的側面としても大変ありがたいプロジェクトです。ただ、良い素材を使い地域の木工作家さんが一つずつ作るので、どうしても価格が高くなってしまいます。みなさんが気軽に購入でき、かつ作家さんにも還元できる価格設定が難しく、今後の課題だと感じています。

北九州市立美術館を模した建築フィギュア「イソグラス」や過去の街並みを再現した組み立て式の立体地図「旅するパズル」などは石垣先生も参加している「つくりもの」というデザインユニットの作品です。石垣先生が手掛ける作品には人を楽しませる“遊び心”があります。

・・・石垣先生は「ちくらす」で地域材を使い、植樹で循環させる取り組みの実施など、サステナブルなプロジェクトに携わっていらっしゃいますが、先生は「サステナブル」について、どう感じていますか?


正直なところ「サステナブル」という意識をあまり持たずに活動しています。実際に「サステナブル」な社会の実現を意識して生活するというのは、なかなか大変なことだなと思います。ですが、ハードルを上げすぎずに「シンプルで無理なく楽しいこと」ならば取り組みやすいと思います。

「ちくらす」は、ものづくりや木や建築が好きな人たちが集まって「こんなの面白いんじゃない?」と楽しみながら取り組んでいます。だから8年も続いているのかなと。もちろん最初は教育的な意味での意識付けというのは必要だと思いますが、「サステナブルな暮らし」の先にあるものは、「面白くて、無理なく、楽に続く」ものであればいいな、という風に感じています。


★ご案内★
~ハートをみがいてココロを届けよう~
クリスマスチャリティオーナメント「ヒノキ・ハート」ワークショップ開催

紙やすりで磨き、あなただけの「ヒノキ・ハート」が完成。
ペレットストーブのぬくもりの中、無心に磨くと心が落ち着きます。◾️日時
2023年11月25日(土)・26日(日)
各日午前11時~午後6時
◾️場所
小倉店本館・新館間クロスロード
◾️参加費
2,200円(ドリンク付き)

※収益金の一部を森林保全活動に寄付いたします。
※来春に第3回植樹会を予定しています。

(協力)京築地区森林・林業推進協議会、西日本工業大学

ワークショップ会場では、ペレットストーブの良さを実際にお試しいただけます。

ペレットストーブとは・・
電気代や、原油価格が高騰する現代だからこそ冬の暖房におすすめ!
地元で育った木質のバイオマスエネルギー(木質ペレット)を燃料とするストーブで、 地産地消にも繋がる環境に優しいストーブです。燃焼中は煙がほとんど出ず、薪ストーブに比べて導入コストやランニングコストが安価など沢山の魅力があります。

ペレスト福岡 夢飛港 ホームページはこちら


小倉店本館・新館間クロスロードにキッチンカーも登場!

◾️日時
2023年11月25日(土)・26日(日)

国産小麦、国産バター、地元で採れた野菜を使用したハンバーガーやパニーニ、上毛町の無農薬レモンと、豊前市の無農薬棚田ゆずを熟成させた熟成ゆずレモネード等々、地産地消を意識し安心して口にしていただけるものを心がけて作っています。
こだわりの焙煎珈琲も!

※「ヒノキ・ハート」ワークショップご参加の方へお好きなドリンクを1杯差し上げます。

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